サステナビリティ

TCFD提言への対応

当社グループは気候変動をサステナビリティ重点課題の1つとして認識し、金融安定理事会の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同するとともに、今後は、TCFDに沿った情報開示の拡充に取り組んでまいります。

ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティに関わる方針、活動、施策を定め推進する「グループサステナビリティ委員会」にて、四半期に一回の頻度で本委員会を開催してまいりますが、気候変動対応は、本委員会の最重要課題として位置付けております。

本委員会の傘下に、環境問題に関わる当社及び事業会社の環境担当者を中心とした当社グループ横断の「環境分科会」を設置しており、気候変動関連事項についての詳細な検討を行ってまいります。

また、気候変動に関する本委員会の決定事項は、環境分科会を通じて当社グループに情報を展開して浸透させてまいります。

カクヤスグループサステナビリティ推進体制

戦略

当社グループは、事業全体の脱炭素化への歩みを進めるべく、今後起こり得る様々な事態を想定し、課題を把握して戦略立案とその実行に繋げるよう、TCFD提言や事業環境固有の状況を考慮したシナリオ分析を行ってまいります。

移行リスクについては、政策や立法の動向、気候変動関連の技術開発動向、主として酒類飲料製品に係る市場の動向、顧客嗜好についての潜在的なシナリオに基づく評価を行ってまいります。

また、気候変動が当社事業に影響するリスク(物理的リスク)についても、機会の抽出とともに対応してまいります。現時点で想定する主要なリスクと機会については下記の通りです。

想定するシナリオの定義

IPCCの「1.5℃特別報告書」において、気温上昇を約1.5℃に抑えるためには、2030年までに2010年比で世界全体のCO2排出量を約45%削減することが必要という見解が示されたことも踏まえ、当社グループでは、シナリオ分析を実施し、その結果に応じて戦略の見直しを適宜行ってまいります。 現時点でのシナリオ分析により特定した主要なリスク、機会とその対応を以下に示します。 なお、シナリオについては、以下のように定義します。

 

シナリオ ①脱炭素シナリオ(1.5℃) ②温暖化進行シナリオ(4℃)
対象年 中期:2030年 長期:2050年
対象事業 当社および当社グループ5社の全事業

移行リスク

項目影響対応
政策と税制 我が国で政府による炭素税が導入され、当社グループの収益低下に繋がる可能性があります。 当社グループ事業の脱炭素化に向けた取り組みは緒に就いたばかりでありますが、仮に炭素税がt-CO2eあたり10千円とすると、その影響は大きいと見ております。物流拠点、店舗、事務所などの省エネルギー化、温室効果ガスの排出量削減などの取組みを通じてこの影響を減らしてまいります。
市場と顧客の動向 消費者のサステナビリティへの関心が高まり、対応が遅れた企業のサービスを消費者が忌避することで当社グループの収益が低下する可能性があります。 当社グループのサプライヤーである大手ビールメーカーや主要顧客の一つである大手外食チェーンはサステナビリティへの取組みが当社のそれより先行している所が多いですが、一早く追随し、サステナビリティ活動を推進してまいります。また、適切なマーケティング活動を通じて消費者の購買行動を把握するとともに、適切な営業活動を行ってまいります。

物理リスク

項目影響対応
異常気象の発生 全国規模での気象災害により、当社グループが保有する資産が罹災し、事業が継続できなくなり収益が低下する可能性がある。主要顧客の飲食店が被災し、商品を納入できなくなり当社グループの収益低下に繋がる可能性があります。 当社グループ全体についての事業継続に関するBCP対策を進めてまいります。
平均気温の上昇 平均気温の上昇による労働条件悪化が配送従業員の作業効率に悪影響を及ぼし、収益の減少に繋がる可能性があります。また、消費者の嗜好に変化が起こり、季節商材などの売上が減少する可能性があります。 物流施設や店舗での就業条件の改良を検討してまいります。商材の拡充に努め、適切なマーケティング活動を通じて消費者の購買行動を把握するとともに、適切な営業活動を行ってまいります。

機会

項目影響対応
温室効果ガス低排出サービスの開発 酒類・飲料メーカーが輸送の低炭素化や容器のリユースを進めることやリターナブル梱包のニーズが拡大することにより、配送だけでなく回収の機能を担うことが可能な当社グループへのニーズが高まり収益が増加する可能性がある。 空容器の回収は従来から実施しておりますが、自社物流体制をとる当社グループの強みを活かし、新たなサービス展開を検討してまいります。
新市場へのアクセス 気温上昇に伴い宅配需要が高まる中で、酒類以外の新たな宅配商品市場に参入することにより収益が増加する可能性がある。 自転車配送や回収ニーズのある新規商品開発などを検討してまいります。

リスク管理

当社グループは、TCFD提言に基づき、気候変動関連のリスク及び機会を捕捉し評価してまいります。リスクと機会の抽出は、当社グループ全体を対象に各事業の主幹部門及び本委員会事務局が行います。抽出されたリスクと機会については、環境分科会で討議した後に本委員会に報告し、本委員会が必要に応じてリスクの低減、統制、移動、受容について検討してまいります。また、影響度の高いリスク項目については、当社グループのリスク管理委員会にも共有し、当社グループ全体のリスク管理体制の中で管理してまいります。

指標及び目標

当社グループ事業の約8割以上は、酒類・飲料を中心とした商品をお客様へ配達することから成り立っており、主に配送行為によって生じる温室効果ガスの削減が課題になります。

短期的な指標は定めておりませんが、現時点では2050年までの長期目標として温室効果ガスの排出量をネットゼロとすることを掲げております。この目標達成のためのマイルストーン(道標)として、当社グループが自社で直接排出するスコープ1(自社車両、物流拠点、オフィスなどでの直接排出量)、及びスコープ2(自社で電力などを消費したエネルギーによる間接排出量)を計測しました。

スコープ1、スコープ2の温室効果ガス排出量

分類排出量 (単位: t-CO2)対象
スコープ1 4,439 当社及び連結子会社5社
スコープ2 5,723 同上
合計 10,162


※ 集計期間: 当社グループ各社の2021年度決算期間(12か月)

スコープ1,2の目標削減量につきましては、今後検討してまいります。また、スコープ3(スコープ1,2以外のサプライチェーン上での温室効果ガス排出量:その他の間接的排出量)の計測可否につきましても今後検討してまいります。

 

なお、算定対象期間とした2021年度は、コロナ禍で当社グループの業績が大きな影響を受けた期間でありますので、今後の計測値と比較して、温室効果ガスの排出量が過小となる可能性があります。

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